悟天は、メカ神龍に対抗する為、気を限界にまで高めて超サイヤ人6に変身しようとした。しかし、気を高めている最中にメカ神龍に殴り飛ばされた。
「貴様、空気を読め!こういう時は、俺が変身するまで待つものだろ!」
「そんなお約束、知った事か。俺様は、やりたいようにやる。それよりお前は、超サイヤ人6に変身出来ると本気で思っているのか?」
「当たり前だろ!父さんが出来たんだから、俺にだって出来るはずだ!」
「俺にだって出来るか・・・。馬鹿が。お前は、何も分かっちゃいねえ」
メカ神龍は、悟天の思い上がりを鼻で笑った。
「お前は、準決勝で孫悟空と互角に渡り合ったから、孫悟空に追いついたと思っているようだが、それは違う」
「何を言ってんだ?そもそもお前は、俺達の試合を観てすらいないだろ!それなのに分かってる風に言うな!」
メカ神龍は、レードの体内に居た。そして、悟空と悟天の試合の時、レードは、アイスの墓参りをしていた。その為、メカ神龍が試合を観ているはずなかった。しかし、メカ神龍は、構わず話し続けた。
「孫悟空は、お前と闘う事に戸惑っていたはずだ。お前を殺すべきかどうかでな。そんな心境で、本気で闘えるはずがねえだろ!俺様は、確かに試合を観ていないが、これ位は観なくても分かる。言い返したければ、してみろ」
悟天は、反論出来なかった。悟空が悩みながら闘っていた事は、対戦相手である自分にも分かっていた。そんな状態でフルパワーで闘えるとは考え難い。事実、序盤は悟天が圧倒的に優勢だった。悟空が吹っ切れると形勢は逆転した。この事から判断すると、双方の実力には相当な開きがあるかもしれない。実際は違うかもしれないが、悟天は、そう信じてしまった。
これは悟天の変身を封じるメカ神龍の戦術だった。悟天が悟空より弱いと思い込ませる事で、まだ超サイヤ人6に変身出来ないと信じさせた。誰でも出来ないと信じれば、出来る事も出来なくなる。メカ神龍の作戦は功を奏し、悟天は、超サイヤ人6に変身する試みを止めてしまった。
悟天が自分には超サイヤ人6に変身する力が無いと信じて悔しがっていると、すぐ側で悟空が床に叩きつけられていた。悟空の体は傷だらけで、変身が解けていた。一方、レードの体も傷だらけだが、感じられる気は大きかった。エネルギーの消耗量の差が、優劣を決定付けた。
空中に浮かんでいるレードは、手の平からエネルギー球を出した。一方、悟空は、俯せの状態で倒れたままで、エネルギー球の存在に気付いていなかった。そして、レードは、悟空に向けてエネルギー球を放った。
「父さんを死なせる訳にはいかない!俺は、まだ父さんに謝っていないんだ!」
悟天は、悟空の前に立ち、エネルギー球を代わりに喰らった。悟天の立っていた場所で爆発が起こり、周囲が煙に包まれた。この時、悟空は、初めて自分が狙われていた事に気付いた。そして、悟天が身を呈して自分を守ってくれた事も。
悟空は、「悟天!」と叫んで立ち上がった。そして、悟天が自分の代わりに死んでしまったのではないかと気が気ではなかった。
やがて煙が晴れると、悟天が体をガードして立っている姿が見えた。悟天は、無事に生きていた。しかし、様相が違っていた。顔と手の平と足の裏を除く体の表面が毛に覆われ、超サイヤ人3の様に顔から眉毛が消えていた。また、体の周囲を飛び交う火花の量が倍に増えていた。何と超サイヤ人6に変身していた。
悟天は、悟空を救う事で頭が一杯になり、メカ神龍から言われた事など忘れていた。そして、エネルギー球から悟空を守ろうと全力でガードしている内に変身していた。それによってエネルギー球にも耐えられた。
「やった!やったよ、父さん!俺も超サイヤ人6になったよ!」
自分が超サイヤ人6になった事に気付いた悟天は、これでようやく悟空の役に立てると喜んで悟空と向き合った。悟空にも喜んでもらえると思っていた。しかし、悟空の反応は予想と違っていた。
「馬鹿野郎!」
悟空は、語気を強めて怒鳴った。悟天が反抗していた時でさえ怒っていなかったのに、今は本気で怒っていた。悟天には悟空が怒る理由が分からなかった。
「悟天!オラはな、おめえを盾にする為に、おめえをパートナーに選んだんじゃねえ!おめえと二人で闘って勝ちてえから選んだんだ!だから、おめえに死なれちまったら、例え勝っても意味が無いんだよ!オラを救う為とはいえ、二度と命を投げ出そうとするな!絶対に二人とも生き延び、二人で闘って勝つぞ!良いな!?」
悟天は、悟空の熱弁に感動し、思わず目頭が熱くなった。
「行くぞ、悟天!ここから反撃開始だ!」
悟空は、再び超サイヤ人6に変身した。そして、上空に居るレードに向かって飛び上がった。同じく悟天は、メカ神龍に向かっていった。それから悟空と悟天は、それぞれの相手と激しい乱打戦を繰り広げた。しかも悟空と悟天が一方的に攻撃していた。
悟空達は、相手を散々に殴り、相手の尻尾を握った。それから悟空はレードを地上に、悟天はメカ神龍を上空に投げ飛ばし、レードとメカ神龍は、空中で衝突した。そして、揃って落下したが、悟空達は、レード達が地上に激突する前に攻撃を再開し、時には相手を交換しながら、何度も激しく殴打した。
この悟空達の一方的な展開に、控え室で観ていた仲間達は、喜ぶよりも驚いていた。
「悟空さん達の、あのパワーは何なんですか!?同じ位に強い相手なのに、どうしてこうも一方的に攻められるんですか?」
「カカロットは、悟天と二人で闘っている。それに対してレード達は、バラバラに闘っている。あれでは二対二ではなく二対一だ」
個人戦とは違い、チームで闘う場合、チーム内の信頼関係が勝敗に大きく影響する。信頼関係があるチームには、チームワークが自ずと生まれ、相乗効果で何倍もの力を発揮する。一方、信頼関係が無いチームには、互いに足を引っ張る場合もあり、個々で闘うよりも力を発揮出来ない。この闘いは、その典型例と言えるものだった。
「先程まで敵対していたのに、流石は親子だな。事前に打ち合わせした訳でもないのに、息がピッタリだ。悟天と闘える事が父さんには堪らなく嬉しいんだろう。その事が父さんのパワーになっている。もし父さんが一人で闘っていれば、あれだけの力を引き出せなかったはずだ。互いの存在が互いの支えになっている。ふっ。少し悟天が羨ましいな」
悟空は、自分でも驚く程に調子よく闘えた。先のレードとの対戦でエネルギーの大半を使い果たしたはずなのに、今は疲れすら感じていなかった。十年の時を経て、ようやく悟天との関係が修復した事に喜びを禁じ得なかった。
悟空達は、それぞれの相手の足を抱え、回転して投げ飛ばした。レードとメカ神龍は、再び空中で衝突した。メカ神龍は、苛立って立ち上がったが、いきなりレードから後頭部を殴られた。
「こ、こいつ!敵と味方の区別も付かんのか!?目障りな奴め!」
メカ神龍の目が赤く光ると、レードの動きが止まった。メカ神龍は、金縛りを使い、レードの動きを封じた。そして、単独で悟空達と向かい合った。
「二人でも勝てなかったのに、一人で俺達と闘うつもりか?」
「調子に乗るなよ。俺様は、一人の方が闘い易いんだ。何せ天才だからな」
メカ神龍の目が再び赤く光った。そして、メカ神龍は、突進して悟空と悟天を順に殴った。
「スピードが上がっている。さては、神龍の力で自分の能力を上げたな」
「ふははは・・・!そうだ。お前達が力を合わせても、俺様には勝てないと思い知らせてやる」
「それはどうかな?その程度の力しか上げられないなら、勝てると思ったぞ」
「ふっ。分からん奴だ」
メカ神龍の目が再度赤く光った。そして、メカ神龍は、先程よりも更に速いスピードで悟空に迫ったが、待ち構えていた悟空に両手首を掴まれた。力尽くで振り解こうとしたが、その前に悟天に側面から蹴飛ばされた。悟空は、直前に手を離したので、メカ神龍と一緒に吹っ飛ばされなかった。
「さっきと余り変わってねえ。どうやら、これ以上は強くなれねえようだな。お前の神龍の力は、不完全と言うだけあって、大した事ないようだ」
「舐めやがって!俺様の神龍の力では、貴様等を一瞬で殺す事は出来ないが、苦しめて殺す事は出来るぞ。喰らえ!エターナルペイン!」
またもやメカ神龍の目が赤く光ると、悟空は、攻撃された訳でもないのに、左肩から血が噴出した。悟天も同じく攻撃されていないのに、いきなり口から血を吐いた。
「い、一体、何が起きた?・・・うぐっ!」
今度は悟空の右の脇腹から、悟天は額から、二人同時に血が噴出した。
「一定間隔で体の何処かがダメージを負う。それが死ぬまで続く。これがエターナルペインを喰らった者の末路だ。そんなに仲が良い親子なら、二人仲良く苦しんで死ね」
悟空達の優勢は少しの間だけだった。メカ神龍の奥の手により、悟空達の命は風前の灯となった。


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