「バージョン5・・・って、何だそりゃ?そう言えば、さっきも『バージョン3』や『バージョン4』とか叫んでたな。そもそもバージョンって何だ?」
「俺の体には複数の特殊な力が内蔵されている。その力は段階を経て発揮される。その段階の事をバージョンという。ただし、これから見せるバージョン5は他と様相が違う。出来れば使いたくなかったが、そうも言ってられない。とくと見ろ!バージョン5!」
レードが叫んだ途端、レードの体に埋められた七個の球の中に、それぞれ一つから七つの星が出現した。これを見た悟空は、ある物を思い出した。
「まるでドラゴンボールだ・・・。もしやバージョン5とは!?」
「気付いた所で、もう遅いぞ。出でよ!メカ神龍!」
「メカ神龍だって!?」
レードの体に埋められた七個の球が光り、上空に向けて光の柱が放たれた。悟空は、光の柱を見ていたが、その中に人影が見えた。やがて光の柱が消えると、何者かが床の上に降り立った。その者は、全身が銀一色で、背丈は二メートル以上あった。頭には四本の鋭い角があり、体が筋肉で盛り上がり、両肩に鋭い刺が生えていた。そして、気が感じられなかった。
「おめえがメカ神龍とかいう奴か?」
「メカ神龍だと!?違うな。俺様は、メカ神龍様だ。ちゃんと『様』を付けないと殺すぞ!まあ付けても最終的には殺すけどな」
「随分と偉そうな奴だ。レード。一体こいつは何なんだ?」
悟空は、メカ神龍の偉そうな態度に嫌気が差し、レードに話を振った。
「かつてドクター・ハートは、孫悟飯の記憶からドラゴンボールの存在を知り、科学の力で新たなドラゴンボールを作りたいと願い、何年も研究した。そして、完成こそしなかったが、その過程で不完全なドラゴンボールを作り出した。それがこれだ」
生前のドクター・ハートは、研究途中だったドラゴンボールを実証実験としてレードの体に組み込んだ。しかし、作り手のドクター・ハートに似た傲慢な性格に嫌気が差したレードは、取り除くよう頼んだが取り合ってもらえず、なるべく使わないようにしようと思っていた。
「俺様は、どんな願いでも叶えられる訳じゃねえ。叶えられる願いは限られている」
「話に割り込んでくるな。そして、ここに居て良いのは、オラとレードだけだ。部外者は引っ込んでろ」
「やなこった。俺様は、レードの体から出現した。つまりレードの技の一つと定義される。何よりレードは、この武道会の主催者だ。反則を取られる事はねえ。残念だったな」
傍若無人なメカ神龍の態度には、悟空だけでなくレードも苛立っていた。しかし、レードは、努めて冷静を装っていた。
「下らん話は終わりだ。早く俺の願いを叶えろ」
「ああ。そうだな。何を願うんだ?」
「まず俺を完全回復させろ。そして、今の戦闘力をバージョン4で超サイヤ人6もどきに変身した時と同じにしろ」
「良いだろう。俺様に感謝しろよ」
メカ神龍の目が赤く光った。するとレードの体にあった傷が全て消えた。更にレードの気が大幅に上昇した。
「これで超サイヤ人6もどきに変身したロボベジットと同じ強さになった。ついでに永久エネルギーにしてやろうか?ずっとフルパワーで闘い続けられるぞ」
「いや。これで充分だ。もう用は済んだ。ボールの中に戻れ」
「へっ。冗談じゃねえ。ここで再びボールに戻れば、次は何時呼ばれるか分からねえからな。やっと外に出られたんだ。もうボールに戻るつもりはねえよ」
メカ神龍は、自分の意思で球から外に出られなかった。合言葉を言われない限り、球の中で大人しく出番を待つしかなかった。
「ちっ。だったら俺の邪魔をするな。隅っこで俺と孫悟空の試合を観ていろ」
「ほーい。せいぜい頑張りなよ」
メカ神龍は、闘技場の隅に向かって歩き出した。レードは、「やれやれ」と言ってから、悟空の方を振り向いた。
「待たせたな。それでは続きを始めるぞ」
「科学の力でドラゴンボールを作ろうなんて、考え方が突拍子もねえな」
悟空は、超サイヤ人6に変身し、レードに向かって突進した。そして、激しい攻防戦を繰り広げた。驚いた事にレードは、超サイヤ人6に変身している悟空と対等に渡り合っていた。不完全とはいえ、メカ神龍の力は本物だった。
悟空は、レードの腹部を蹴飛ばし、吹っ飛ばされたレードを追い駆けつつ龍拳を放つ構えになった。ところが、悟空の背後にメカ神龍が現れ、悟空の後頭部を殴った。悟空は、一瞬バランスを崩したが、すぐに持ち直して背後に居るメカ神龍を狙って回し蹴りした。しかし、メカ神龍は、悟空の蹴りを払い除け、悟空の顔面に張り手した。更に面食らった悟空の動きが止まった隙を見逃さず、悟空の胸部を高速で五回も殴った。悟空は、思わず片膝を付いた。
「つ、強い。今のレードと同じ位に強い。まさかここまで強いとは・・・」
「まさか俺様の強さをハートボーグ如きと同じだと思ったのか?だとしたら甘えよ」
悟空は、メカ神龍の強さに愕然とした。レード一人だけでも手強いのに、そのレードと同レベルの敵を同時に相手にしなければならなくなったからである。ところが、レードがメカ神龍を叱り付けた。
「おい!俺の邪魔をするなと言っただろ!勝手に参戦するな!」
「助けてやったのに、何て言い草だ。俺様が介入しなければ、殺されていたぞ」
「孫悟空が龍拳を放とうとしていた事は分かっていた。なので回避出来た。勝手な真似をしやがって!やはり貴様を呼び出すべきではなかった・・・」
「もう好きにさせてもらうぜ。と言う事で、死ね!孫悟空!」
メカ神龍は、悟空に向かって飛び掛かろうとした。ところが、レードは、メカ神龍の背中に向けて弱いエネルギー波を放ち、メカ神龍の突撃を止めた。メカ神龍にダメージは無かったが、レードの行動にメカ神龍が激怒した。
「レード!貴様もやってやろうか!?」
メカ神龍は、レードに凄んだ。しかし、レードが反論する前に悟空が反応した。
「レード。こいつが邪魔をするなら、まずは俺達二人で倒した方が良いんじゃないか?」
「メカ神龍は、性格に難あるが、死なれては困る。かと言って、このまま三つ巴の闘いになるのも困る。今回だけ特別だ。孫悟空よ。控え室に戻り、お前と共に闘う者を一人連れて来い。二対二なら文句はあるまい。ついでに体力も回復させてこい」
「本来なら一対一だけど、仕方ねえな・・・。分かった。ちょっと待ってろ」
悟空は、超サイヤ人6の変身を解き、控え室に戻った。そして、控え室に戻った悟空に仲間達が群がってきた。
「父さん。試合が終わった訳ではないのに、どうして戻ってきたんですか?」
「悟空さん。あの銀色の魔神龍みたいな奴は何者ですか?」
悟飯達には試合中の会話が聞こえないので、現状が分かっていなかった。悟空は、餃子に回復してもらいながら答えた。
「あいつの名前はメカ神龍。あいつが勝手に試合に介入するから、こっちも共に闘ってくれる奴を一人連れてく事になった・・・って、あれ?どうして悟天が居るんだ?」
「あ、あの父さん・・・。その・・・」
舞台裏でのやり取りを知らない悟空は、悟天が自分達の控室に居る理由を尋ねた。悟天は、まず悟空に謝ろうとしたが、心の準備が出来ていなかったので、中々言い出せずに間誤付いていた。
「悪い。話なら後にしてくんねえか?こっちは早く誰か連れて戻らないといけねえからな。・・・そうだな。悟天。おめえが来い」
悟空の意外な人選に、この場に居る誰もが驚いた。悟天の実力に申し分ないが、これまでの経緯を考えれば、とても選べない人だったからである。しかし、悟飯は、悟天の背中に軽く手を触れた。
「行ってこい、悟天。父さんがお前の力を必要としているんだぞ」
「で、でも、ここは兄ちゃんが行った方が良いんじゃないか?」
「いや。お前じゃないと駄目なんだ。お前しかレードと苦しみを分かち合えない。レードを救ってやれ」
「う、うん。分かった。俺、やるよ」
早くも訪れた汚名返上の機会に、悟天は大いに奮い立った。そして、悟空と悟天は、揃って控え室を出た。その背に仲間達からの声援を受けて。


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