其の百八 レリーザ再び

ゴジータとロボベジットの戦闘は依然として続いていたが、力やスピードの差が明白だった。ロボベジットの動きにゴジータは全く付いて行けず、ロボベジットの攻撃は全て命中した。ダメージを蓄積したゴジータは、気が随分と減っていた。

「ふっ。今の貴様に超サイヤ人6の力で闘う必要は無いな」

ロボベジットは、擬似超サイヤ人5となり、気が大きく減った。それから戦闘を再開したが、戦況は全く変わらなかった。ロボベジットが擬似超サイヤ人6の時にゴジータに与えたダメージが甚大であり、ゴジータは相当弱っていた。

一方、レード達は途中から戦闘を観戦していたが、ロボベジットの闘い方に違和感を覚えていた。

「どうしてロボベジットは、超サイヤ人6で一気に勝負を決めようとしないんだ?」
「恐らく超サイヤ人6は、エネルギーの消耗が激しい。奴の相手は、ゴジータだけではない。僕達全員を倒すエネルギーを確保する為、力をセーブして戦わざるを得ないのだろう」
「だったら、そこに付け入る隙があるという訳か・・・。あんな奴に孫悟空を殺させない。孫悟空を殺すのは俺だ!」

ロボベジットは、交戦中も餃子に目を向け、隙あらば餃子を亡き者にしようと企んでいた。しかし、それを察知した天津飯が餃子の前で仁王立ちしていた。

餃子が負傷した天津飯の目を回復させる為には、天津飯の目に手を翳さなければならない。それには天津飯が跪くか、餃子が浮上しなければならないが、どちらを選んでも餃子がロボベジットから攻撃を受ける位置になる。餃子が天津飯を回復している間、他の誰かが餃子の盾になると、その者が殺される。天津飯には気功倍返しがあるからロボベジットは迂闊に手を出せない。要するに天津飯も餃子も、この場から動けなかった。

地面に叩き付けられたゴジータは、合体が解け、悟空とベジータに分離した。二人とも大ダメージを受けており、まともに立つ事すら出来ない有様だった。ロボベジットは、悟空とベジータを殺そうとしたが、その前に超サイヤ人5になったトランクスと、魔人化したウーブと、重いマントとターバンを脱ぎ捨てたピッコロが立ち塞がった。三人とも餃子が悟空達を回復させるまでの時間を稼ぐ為、ロボベジットと闘う覚悟だった。

ピッコロ達三人が命懸けでロボベジットを食い止めてる間に、リマがベジータの体の中から出てきた。リマもダメージを負っていたが、魔力で自らの傷だけを治した。この時、レードとフリーザがリマの傍まで来た。

「リマとやら。早く僕の体の中に入れ」
「何だ、お前は?いきなり現れて、偉そうな事を言いやがって」
「詳しく説明している時間は無い。さっさと言われた通りにしろ」
「どうせ憑依される事を望むのは、安易に強くなる為だろ?孫悟空もそうだが、俺を一時的にパワーアップする為の道具だと思っていないか?もっと俺を敬え」

リマは、不承ながらフリーザの体の中に憑依した。フリーザがリマに憑依させたのは、レードとのフュージョンが目的だった。フュージョンによる合体は、双方の実力が同じ位でなければ成立しない。しかし、この数年ろくに修行しなかったフリーザは、レードとの実力差が大きく開き、必然的にフュージョンが出来なくなっていた。その打開策としてレードは、リマに憑依される事をフリーザに促した。当初は反発したフリーザだったが、他に代案が無いので、渋々受け入れた。

一方、圧倒的な強さのロボベジットを前に、ピッコロ達三人は、早くも苦境に立たされていた。しかし、この時、超サイヤ人5になった悟天とセルが参戦した。特に悟天の強さが目覚しかった。ピッコロ達三人よりも、悟天一人の方が手強いとロボベジットに感じさせる程だった。ピッコロ達も悟天の強さに仰天していた。

「やるな、孫悟天。孫悟空と互角の強さだ」
「互角だと!?お前の目は節穴か!俺の方が上に決まっているだろ!あんな奴と同列視するな!」
「あんな奴だと?親に向かって何て口の利き方だ。俺が本物のベジットなら、少なからずショックを受けていただろうな」

闘いは悟天達が有利にならなかったが、ロボベジットに一蹴される事もなかった。悟天達は、粘り強くロボベジットに喰らいつき、ロボベジットに他に意識を向けさせなかった。

悟天達が足止めしている間に、レードとフリーザはフュージョンしてレリーザになった。これには側で観ていた悟空とベジータが驚いた。レリーザは、早速ロボベジットの元に移動した。悟天達は、レリーザの邪魔にならないよう少し離れた場所に移動した。しかし、ピッコロ達三人と悟天達二人は、それぞれ別々の場所に退いた。

「まさかレードとフリーザが合体するとは思いもしなかったぞ」
「僕を知らないのか?どうやらジン戦の情報は、伝わっていないようだな」
「何?そう言えば、孫悟空の記憶にジン戦が無かった。ジンを倒したのは貴様か!?」
「今頃になって気付いたか。そう。ジンを倒したのは僕だよ。それもあっさりとね」
「面白い。ジンを倒した実力とやらを見せてもらおうか」

レリーザとロボベジットの戦闘が始まった。戦況は全くの互角で、ロボベジットはレリーザに集中せざるを得なかった。そのお陰で天津飯は無論、傷付いた仲間達を、餃子は次々と回復した。そして、悟天とセル以外が悟空の元に集まり、闘いを観戦しながら今後の対策を話し合った。

「レードとフリーザがフュージョンするなんて、想像すらしなかった。かなりの強さだが、超サイヤ人6になったロボベジット程じゃない。敗れるのは時間の問題だろう」
「今は任せるしかねえ。その間にオラが元気玉を作る」
「ロボベジットを倒すとなると、相当な元気が必要だ。こんな所で集まるのか?」
「分からねえ。でもやるしかねえ」

悟空は、両手を高く掲げ、元気を集め始めた。そして、元気を上空にではなく、悟空の体内に集めた。

元気を集める場所は、体内と体外がある。体内なら相手に気付かれ難いが、集めてる最中に体に攻撃を受ければ元気が四散してしまう。体外だと発見され易いが、体に攻撃を受けても元気が四散しない。当初、悟空は、体内で集めていたが、元気玉を放つ直前に攻撃を受けて失敗した。それ以降、体外で元気を集めていた。しかし、今回も体外で作れば、聡いロボベジットに途中で気付かれて作成途中の元気玉を破壊される危険性がある。だから見つかり難い体内で作る事にした。

3C324内の大半の星は、かつてジニア人に滅ぼされた。しかし、ジニア人に役に立たない知的生命体は殺されたが、それ以外の動物や植物は無事だった。また、別の銀河から奴隷として惑星ジニアや、その他のジニア人が支配する星に連れてこられ、過酷な強制労働を強いられている者も多数居た。弱っている彼等から大量の元気を貰う訳にはいかないが、少しずつの元気なら、さほど影響は無い。その為、割と多くの元気が集まってきた。

一方、レリーザとロボベジットの戦闘は、互角の展開のまま続いていた。

「どうして本気にならず、わざと今の俺と互角の展開になるよう闘っているんだ?」
「ほう。よく本気でないと見抜いたね。僕が本気になれば、一時的に有利になるだろう。しかし、劣勢になった君は、超サイヤ人6に変身するだろう。そうなれば僕に勝ち目は無い」
「なるほど。俺を擬似超サイヤ人5に留めておく為か・・・」
「そっちこそ、どうして超サイヤ人6に変身しないで出し惜しみするんだい?」

ロボベジットは、レリーザの質問に答えず、黙ってしまった。

「お前の口からは言えまい。だから僕が代わりに言ってやろう。超サイヤ人6は、大きくエネルギーを消耗するから、長く変身してると、すぐにエネルギーが底を突く。それに僕の合体には制限時間がある。一度合体が解ければ、すぐには再合体出来ない。だったら無理をしないで、僕の合体が解けるのを待った方が良いと考えたんだろ?」

レリーザの指摘に対してロボベジットは、ぐうの音も出なかった。相手がレリーザ一人なら、擬似超サイヤ6になって一気に片を付ければ良いが、他に悟空達も居るので、余力を残さないといけなかった。しかし、そう思わせる事がレリーザの作戦だった。レリーザの目的は、ロボベジットを自身の手で撃破する事ではなく、自らの生存と後に闘う悟空達の為の時間稼ぎ、そして、少しでもロボベジットを消耗させる事なので、このまま互角の展開で推移するのが望ましかった。

しかし、レリーザの思惑通りになるロボベジットではなかった。ロボベジットは、レリーザを倒せずに無駄にエネルギーを消耗する位なら、さっさと擬似超サイヤ人6に変身して、速攻でレリーザを倒した方がエネルギーの消費量が少ないと考えた。そして、再び擬似超サイヤ人6に変身した。ところが、レリーザは、慌てる素振りを見せなかった。

「やはり先程に比べると気が小さい。エネルギーを消耗している証だ」

コメント

タイトルとURLをコピーしました