レードとドクター・ハートが手を組んだ事など露知らず、地球では悟空達が修行に励んでいた。悟空は、超サイヤ人5に変身して悟飯と組み手をしていたが、真剣勝負かと見紛う程、二人共本気だった。この様子をピッコロ、トランクス、パンが観ていた。
「悟空は、相手が悟飯だからこそ本気になれる。俺達とでは力を抑えていたからな」
「でも、本気の悟空さんは、熱くなり過ぎますからね。昨日なんて組手なのに十倍かめはめ波や龍拳までしていました。でも、悟飯さん・・・いえ、義父さんは、まともに技を喰らっても無事だったのには驚きました。俺なら間違いなく死んでました」
「いつか事故が起きなきゃ良いんだけど・・・」
悟空と悟飯は、修行とはいえ、全く手を抜かなかった。この修行は、片方が戦闘不能になるまで続けられた。そして、片方が戦闘不能になったら、もう片方が天界に居るデンデの元に連れて行って回復してもらい、すぐに二人揃って修行場に戻って修行を再開した。悟空は、ここまでしなければ悟天に勝てないと思うからこそ必死で修行した。悟飯は、悟空と同じ思いだからこそ修行に付き合った。一方、ベジータが重力室で、ウーブが魔界で、それぞれ個別に修行していた。
所変わって惑星レードでは、悟天とゴカンがトレーニング施設内で修行する一方で、フリーザとセルは、施設の前に設けられたベンチに腰掛け、優雅にワインを飲んでいた。ジニア人が滅び、レードという目の上の瘤が消え、残る問題は悟空達だが、悟天が更に強くなって彼等を倒してくれるだろう。自分が宇宙の帝王として君臨する日が近いと思い、笑みを浮かべるフリーザだった。
そのフリーザとセルの元に珍客が訪れた。ハートボーグ五十七号と五十八号だった。ハートボーグ達が目の前に現れた時、フリーザ達の表情が一変した。
「何の用だ?ドクター・ブレインの敵討ちに来たのか?それなら地球に行け」
「そうではない。それに俺達は敵ではない。今回はレードの伝言を伝えに来た」
「レードの伝言?何を言ってるんだ?奴は死んだ」
「いいや。生きている。今はドクター・ハートの元に居る」
「レード様が生きているだと!?」
フリーザとセルが後ろを振り返ると、何時の間にか悟天とゴカンが立っていた。悟天達は、五十八号の気を察知し、修行を中断して様子を見に来ていた。そして、レードが生きていると聞き、フリーザ達以上に驚いていた。
「レード様が生きていると偽り、俺達を騙すつもりか?只では済まさんぞ」
「落ち着け。お前達を騙すつもりはない。まずは話を聞け」
五十八号は、レードが助かった経緯や、ドクター・ハートの手でサイボーグに改造されている最中であると話した。しかし、それでも悟天は、半信半疑だった。
「貴様等とは先日まで敵同士だったんだ。俄かには信じられない。それよりもレード様の伝言とは何だ?内容によっては貴様等を信じてやらんでもない」
「レードは言った。『宇宙一武道会を再び開催し、そこで孫悟空達と決着を付ける。開催時期は改造が終わる半年後。今回は予選無しで本選から始める。本選は十六人によるトーナメント方式。出場する十六人、及び組み合わせは、この中に書いた』とな。中身は俺達も見ていない」
五十八号は、悟天に封筒を手渡した。悟天は封を切って中から紙を取り出した。そして、紙を見て笑った。悟天の隣からフリーザとセルが紙を覗き見て、こちらは仰天した。
「げ!僕の名前がある!セルの名前もだ!」
「冗談ではない!どうして私達まで武道会に出場しないといけないんだ!?」
「喚くな。ゴカンだって出るんだぞ。ハートボーグの二人もな。当然、俺やレード様も出る。後は孫悟空達九人だ。おい、五十八号。貴様等を信用しよう。宇宙一武道会を開くなど、レード様でないと思い付かない発想だからな。それに武道会なら邪魔が入らずに孫悟空を殺せる」
悟天は、早くも武道会に乗り気だった。ゴカンも興奮していた。一方、フリーザとセルは、気持ちが落ち込んでいた。また、自分が武道会にエントリーされていると初めて知った五十七号は、戸惑っていた。五十八号は、平然としていた。
「五十七号。貴様は戻り、レード様に了解したと伝えろ。五十八号は残れ。俺が見た所、俺達の実力は互角だ。俺達が組み手をすれば、少しの間は互いに良い修行になる」
「お前と修行するのは構わないが、少しの間とは、どういう意味だ?半年を少しの間と言うのは、おかしくないか?」
「やれば分かる。五十七号は、さっさと行け」
悟天は、五十七号に有無を言わせず追い立てた。五十七号は、不服だったが、悟天が怖いので言われた通りに退散した。
「孫悟天。そもそも宇宙一武道会とは、どんな大会なんだ?」
「詳細は、レード様の部下に聞け。俺は修行で忙しいんだ。いちいち説明している暇は無い。一つだけ教えてやるが、試合で対戦相手を死なせても反則にならない。相手もそれを承知の上で向かってくるから、武道会までに修行していないと、殺されるぞ。今から修行しても、もう手遅れかもしれないがな。行くぞ、五十八号」
悟天は、セルの質問に素っ気無く返答し、五十八号を連れて何処かに飛び去った。ゴカンは、トレーニング施設の中に入り、修行を再開した。後に残ったフリーザとセルは、呆けた表情で話し合った。
「・・・どうやら本当に宇宙一武道会に出場せざるを得ないようだ。セルゲームを思い出すな。フリーザよ。共に修行するか?以前のお前は、わずか四か月の修行で相当強くなったそうだな。半年もあれば、誰よりも強くなれるのではないか?」
「あれはビギナーズラックによるものだよ。今では改造されて潜在能力まで開放してしまったから、流石に以前の様に爆発的に強くなれない」
その後、レードの部下の中でも悟空と馴染みのあるリシパが地球に派遣された。リシパは、悟空達と会い、惑星レードで第二回宇宙一武道会が開催される旨を伝えた。悟空達は、レードが生きている事や、再び宇宙一武道会が開かれる事に驚いたが、出場すると即応した。そして、リシパは、武道会の開催時期が半年後としか決まっていなかったので、日程が正式に決まったら後日改めて伝えると言い残し、地球を去っていった。
惑星レードでは、悟天と五十八号が連日、荒野で組み手の修行をしていた。始めた当初は互角だった二人だが、一月も過ぎると、五十八号が悟天に付いていけなくなった。
「な、何故だ!?何故お前との差がこんなに開いたんだ?ちょっと前までは互角だったのに・・・」
「貴様との組み手もここまでだな。後は一人で修行する。貴様は勝手に修行していろ。じゃあな」
悟天は、トレーニング施設に向けて飛び立った。項垂れた五十八号に、背後で観ていたフリーザとセルが声を掛けた。
「同じ修行しても、孫悟天だけ急激に伸びていく。僕達も孫悟天と組み手をさせられた時があったが、最初は互角でも、何時の間にか随分と差を付けられた」
「孫悟空達がどんな修行してるか知らないが、孫悟天を超えるのは不可能だ。孫悟天は、間違いなく天才だ。武道会の優勝は、孫悟天かレードで決まりだろう」
更に日が過ぎ、遂に第二回宇宙一武道会当日の日を迎えた。悟空達は、再び地球を訪れたリシパに開催日を事前に知らされていた。そして、武道会の出場者だけでなく、ブルマやチチといった観戦者達を含めた仲間全員で惑星レードを訪れた。前回の武道会では、市内は大勢の人で溢れていたが、今回は閑散としていた。予選出場者がおらず、招待客を含めた観客も居なかったからである。
悟空達は、リシパの案内で会場を訪れた。場所は前回と同じだった。会場に入ると、ブルマ等観戦者達は控え室に通され、悟空等出場者達は別室に案内された。その別室の中には他の出場者達がおり、レードを除く出場者十五人が顔を合わせた。悟空以外の地球から来た出場者達は、ゴカンと初顔合わせだが、とても親しげに話し掛けられる雰囲気ではなかった。今にも闘いが始まりそうな緊迫感があった。
重苦しい空気が漂う中、レードとドクター・ハートが揃って姿を現した。サイボーグに改造されたレードは、頭頂部と両肩、左右の前腕と脛に、直径十センチぐらいの球が半分埋め込まれていた。また、胸部と背中に黒いラインが一文字に入っていた。
レードが登場してから悟飯の様子が一変した。悟飯は、激しく睨んでいた。ただし、悟飯が睨んでいたのはレードではなく、レードの隣に立つドクター・ハートに対してだった。ドクター・ハートもまた、悟飯に冷たい視線を送っていた。
「おい、悟飯。あの女を随分と憎んでいるようだが、知ってるのか?」
「ピッコロさん。ドクター・ハートです。ドクター・ブレインに劣らず性悪な奴です」
「あの女が五十七号に命じて、お前を惑星ジニアに連れ去らせたドクターハートか・・・。なるほど。地球人の女には見られない邪悪さを感じる」
「言いたい事を言ってくれるわね。元奴隷、いえ元家畜の分際で!」
ドクター・ハートは、不快な表情を浮かべつつ、トーナメント表を発表した。


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