其の百十二 総力戦

悟空達は、ようやく惑星ジニアの場所を把握した。しかし、すぐに惑星ジニアに突入しなかった。ロボベジットやロボット軍団との闘いで傷付いた体の治療の為、レードの宇宙船まで移動していた。レードの宇宙船は、元はジニア人の船であったが、現在では大幅に改造されていた。千人以上が搭乗可能で、最新式のメディカルマシーンを何台も搭載している大型の船となっていた。悟空達は、そのメディカルマシーンを使い、順番に回復していた。

その頃、悟空達に惑星ジニアの場所を教えたドクター・ラングは、惑星ジニアに戻り、研究所内の一室でドクター・ブレインと面会し、これまでの経緯を包み隠さず報告した。ドクター・ブレインは、それを静かに聞いていた。

「そうか・・・。サイヤ人達に惑星ジニアの場所を正直に話してしまったのか・・・。どうして嘘の情報を伝えなかったのかね?そうすれば、彼等は惑星ジニアに辿り着けないのに」
「俺のプライドとして嘘を言いたくなかった」
「負け際が潔いのは、いかにも君らしいな。よく分かった。ご苦労だった」

ドクター・ブレインは、優しい言葉を掛けながら、ドクター・ラングの左胸に軽く触れた。その直後にドクター・ラングは、自らの左胸を抱えて苦しみ出し、卒倒して絶命した。ドクター・ブレインは、冷たい視線でドクター・ラングの死骸を見下ろしながら、背後に控えていたドクター・ハートに指示を出した。

「惑星ジニアに住むドクター・ラングの一族を捕らえ、全員処刑したまえ。また、間も無く敵が惑星ジニアに攻めてくる。ミレニアムプロジェクトが始まって以来の最大の危機だから、各銀河に遠征しているジニア人全員に、大至急戻ってくるよう伝えたまえ」

指示を受けたドクター・ハートは、急いで部屋から退室した。そして、連絡を受けたジニア人達は、自身が従えるロボットやサイボーグ等を連れて、遠征先から続々と帰還していた。

それから一時間後、悟空達とレード達を乗せた二台の宇宙船が、ほぼ同時に惑星ジニアに到着した。下船した悟空達が目にしたものは、物々しい要塞が立ち並ぶ景色だった。

「ここが惑星ジニア?地球より文明の高い星を想像していましたが、どうやら違うみたいですね。もしかしたら違う星の場所を教えられたのかもしれません」
「ドクター・ラングは、俺達に星の場所を伝えた後、すぐに何処かの星に行ってしまったからな。確認が取れるまで奴を解放すべきではなかった」
「俺は、ここが本物の惑星ジニアだと思います。大勢の気を感じますから」

トランクスが指摘した気は、続々と帰還したジニア人達の他、惑星ジニアで働いている協力者達や、強制労働の為に連れて来られた奴隷達や、ジニア人の子供達のものだった。ジニア人の子供達は、成人になるまで教育を受け、成人になったら身体の変化を止め、尚且つ永遠に生きられる手術を受け、それからミレニアムプロジェクトの為に各銀河に遠征する段取りとなっていた。

「・・・悟飯の気を感じない。あいつが死んだと思いたくない。恐らく大分弱っているのだろう。早く助け出してやらねば」
「そうだな。出来ればドクター・ブレインと会う前が良い。奴と会ったら、悟飯の救出が難しくなるだろうからな」

悟空達が話していると、周囲に大勢のロボットやサイボーグが入り混じる大軍団が出現した。各ジニア人が率いる軍の連合隊だった。その数は、先のロボット軍団より遥かに多かった。そして、大軍団が一斉に飛び掛かり、悟空達との間で戦闘が始まった。

数の上では圧倒的に不利な悟空達ではあったが、焦りは無かった。ボーンに造られたロボットやサイボーグばかりだったからである。オーガンが造った敵と闘ってきた悟空達にとって、今更ボーンが造った敵など相手にならなかった。パンが超サイヤ人2に変身すれば倒せる程度だった。

先のロボット軍団との戦闘では活躍出来なかったパンは、ここぞとばかりに張り切って周囲の敵を倒していた。一方、パンや餃子を除いた悟空達は、力を抑えて闘っていた。この後、強敵との戦闘があると予想されるので、エネルギーを充分に確保したかったからである。

順調に敵の数を減らしていた悟空達の前に、ハートボーグ五十七号と五十八号が飛来した。

「また会うとは思わなかったぞ。しかも惑星ジニアでな」
「オラ達がここまで来た以上、もう隠す必要は無いはずだ。悟飯は何処に居る?」
「ふん。目の前に居るではないか」
「おめえじゃねえ!本物の悟飯だ!おめえが偽者だと分かってるんだ!」
「ほう。よく分かったな。確かに俺は本物の孫悟飯ではない。クローンだ」

五十八号は、あっさり自分の正体を明かした。隠す必要が無かったからである。そうだろうと思っていた悟空達は、誰も驚かなかった。

「本物の孫悟飯に会いたければ、俺を倒した後に五十七号から聞きだすんだな」
「そうさせてもらう。誰も手を出すなよ!こいつとはオラ一人でやる!」

悟空は、超サイヤ人5に変身し、五十七号は後方に退いた。他の戦士達は、周囲のロボットやサイボーグとの闘いを再開した。

悟空は、勢いよく飛び出し、五十八号に殴り掛かった。対する五十八号は、悟空のスピードに多少驚きながらも、身を反らしてパンチを避けた。しかし、続いて繰り出された悟空のパンチが五十八号の顔に当たった。五十八号は、殴り返そうとしたが悟空に避けられ、逆に追加でパンチを喰らった。

「やはり以前よりパワーもスピードも増している。これは本気になって闘わねば勝てんな」

五十八号は、気を最大限に高めた。この後の悟空と五十八号の戦闘は、互いに一歩も譲らない激しい攻防戦となった。一方で他の戦士達は、周囲の大軍団の大半を倒していた。しかもパンを除けば、誰も体に傷一つ無かった。

「止めたまえ!」

この時、戦場全体に鳴り響く大きな声がした。誰もが闘いを止めて声がした方角を見ると、そこには何とドクター・ブレインが立っていた。周囲が注目する中、ドクター・ブレインは、五十八号の元に歩み寄った。

「後は私がやるから、君達は下がっていたまえ」
「はっ。畏まりました」

五十八号は、会釈してから後退し、五十七号と共に何処かに飛び去った。残った大軍団も、何処かに消え去った。そして、闘っていた敵が居なくなったので、全員がドクター・ブレインの前に集まった。

「お前がドクター・ブレインだな」
「そうだ。ようこそ惑星ジニアへ」
「余裕だな。それより悟飯は何処だ?無事なんだろうな?」
「彼なら私の研究所の中に居る。安心したまえ。まだ生きている。私に勝つ事が出来たら、遠慮なく連れて帰りたまえ。私の研究所は、ここから南西の方角三百キロ地点にある」

悟空達は、出来ればドクター・ブレインと出会う前に悟飯を救出したかったが、出会ってしまったものは仕方ないと割り切った。悟飯が生きていると知った以上、ドクター・ブレインを倒して悟飯を助け出そうと心に誓った。

「お前の事は色々と聞いている。かなり凄いんだってな。それに相当な自信家だ。五十八号を下がらせたんだからな。お前一人でオラ達に勝てると思ってるんだろ?」
「当たり前だよ。君達に限った話ではない。誰が相手であろうと、私が負けるはずないからな。せめてものハンデをやろう。私との戦闘中、途中で回復したければすれば良いし、合体したければすれば良い。私は一切邪魔をしない」

悟空達は、ドクター・ブレインの余りの余裕に驚きを通り越して呆れていた。

「そんな事まで言って良いのか?後で『やっぱなし』なんて言うなよ」
「言うわけあるまい。何をしようと君達は私に勝てない。闘う前にこれだけは言っておこう。君達が私に勝つ確率は零パーセントだ」

遂にジニア人のリーダーであるドクター・ブレインと対峙した悟空達。ドクター・ブレインさえ倒せば悟飯を助け出せると悟空達は期待していたが、その淡い期待がすぐに絶望に変わるとは知らなかった。

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