ロボベジットが擬似超サイヤ人6に変身したのに合わせ、レリーザも筋肉を膨張させてフルパワーになった。しかし、気の大きさには、かなり格差があった。まともに闘っても勝てない事を知っていたレリーザは、ロボベジットが幾ら挑発しても、決して自分から攻めようとしなかった。ロボベジットが擬似超サイヤ人6になると、何もしていなくてもエネルギーを大量に消費する。エネルギーを消費するのはフルパワー状態のレリーザも同じだが、消費量が桁違いだった。
焦れたロボベジットが迫ると、レリーザは、脇目も振らずに逃げた。ロボベジットに後を追われ、追いつかれて攻撃を受けたが、再び逃げに転じた。正面から向かってくれば攻撃を当てやすいが、逃げる者に攻撃を当てるのは難しい。案の定、レリーザは、大きなダメージを受けなかった。誇り高いレードとフリーザが合体した戦士なので、当然プライドが高かったが、恥も外聞も捨てて逃げに専念していた。
ところが、ロボベジットは、剣の形をした気を放出してレリーザの脇腹を刺し、逃げるレリーザの動きを封じた。そして、気を徐々に縮め、レリーザを自分の手元に手繰り寄せた。
「ふっ。宇宙の帝王の親子が随分と情けない真似をするじゃないか。しかし、それもここまでだ」
ロボベジットは、左手でレリーザの右腕を掴み、レリーザが逃げられないようにしてから気の放出を止めた。そして、右の拳でレリーザの顔面を殴り始めた。対するレリーザは、左腕で顔をガードしたが、ガードを突き破られて殴られ続けた。レリーザを救おうと悟天がロボベジットに背後から迫ったが、回し蹴りで返り討ちにされた。
余裕が出来たロボベジットが周囲を見渡すと、悟空の前にベジータやピッコロ、トランクスやウーブ、パンが居て、ロボベジット側からは悟空が何をしているのか見せないように隠していた。
「孫悟空は、何をしているんだ?気になるな・・・」
ロボベジットが悟空の元に向かおうとすると、レリーザが両目からロボベジットに向けて破壊光線を出した。ロボベジットは、破壊光線を避けたが、レリーザに反撃する余力が残っていると知って驚いた。レリーザの鳩尾を殴り、空中に放り投げて手を翳し、レリーザを消し去ろうとした。しかし、その前にレリーザのフュージョンが解け、レードとフリーザに分離した。地面に落下した二人は、共に大ダメージを受けており、気絶していた。
「この二人は、何時でも殺せる。例え回復されても、すぐにはフュージョン出来ない。それよりも弱いくせに目障りな天津飯と餃子を早く仕留めなければ・・・。孫悟空の動向も気になる」
ロボベジットが倒れているレード達を放置し、天津飯や餃子の気が感じられる方角を振り向くと、ベジータ達五人が前に立ちはだかり、天津飯達二人の姿が見えなかった。ベジータ達は、悟空をロボベジット側から見えないように立っていたが、天津飯達が悟空の側に居たので、彼等の姿を隠す事にもなっていた。
「天津飯達も何かしているのか?あいつ等は、色々な技や術を使うだけに、早めに潰しておかないと後が大変だ」
ロボベジットが近付くと、ベジータ達が分散し、天津飯の姿が露になった。そして、天津飯は、ロボベジットと目が合った瞬間に真実の目を使い、ロボベジットを変身前の姿に戻した。そして、各々フルパワーになったベジータ達が一斉にロボベジットに向けて気功波を出した。ロボベジットは、突然の出来事に驚き、反応が遅れて気功波を避けられなかった。ロボベジットが居た場所を中心に大爆発が起き、分厚い煙が周囲に立ち込めた。
ところが、煙が完全に晴れると、バリヤーを張ったロボベジットが立っていた。気功波は、バリヤーに遮られ、ロボベジットには一切当たらなかった。
「餃子の力で回復した天津飯の姿を俺から一旦隠し、続いて真実の目で俺の変身を解いて防御力を落とし、それから全員で一斉に攻撃か・・・。中々やるじゃないか。しかし、俺には通用しなくて残念だったな」
ロボベジットは、高笑いしながらバリヤーを解いた。それを見計らってセルが側面からかめはめ波を放ったが、一瞬で擬似超サイヤ人5になったロボベジットが片手で弾き返した。セルは、自らのかめはめ波を受け、胴体から上が吹っ飛んだが、すぐに再生した。
続いてロボベジットは、素早い動きで天津飯を攪乱し、真実の目から逃れた。しかし、悟天がロボベジットに追いつき、蹴りでロボベジットを地面に埋もれさせた。ロボベジットは、すぐに地上に飛び出したが、悟天に不覚を取った事を悔しがった。
「ちっ。擬似超サイヤ人6に変身して闘った反動で、思った以上に体力の消耗が激しい。その上、まだ一人も殺していない。これではドクター・ラングに合わせる顔が・・・うん?あれは!?」
ベジータ達が移動し、自身も先程の場所から移動していたので、ロボベジットは、悟空が両手を上に挙げているのが見えた。そして、悟空が元気玉を作っていると察した。
「孫悟空が何かしているのは気付いていたが、まさか元気玉を作っていたとはな。まあ、他に手段が無いから、当然といえば当然か・・・。それにしても、孫悟空は、何時から元気玉を作っていたんだ?こんな所で作る元気玉だから大した事ないと思うが、念の為に潰しておいた方が賢明だな」
ロボベジットは、ターゲットを変え、悟空に迫った。すると悟空は、苦し紛れに元気玉を放った。しかし、またしてもロボベジットがバリヤーを張り、元気玉の直撃を凌いだ。最後の頼みの綱である元気玉を防がれ、ベジータ達は意気消沈した。
「ふっ。当てが外れて残念だったな。もう他に打つ手はあるまい。多少は手古摺らせてくれたが、貴様等如きが俺に勝てるはずがない。遊びはこれまでだ!全員纏めて一分で片付けてやる!」
バリヤーを解いたロボベジットは、体力を消耗するのを承知の上で擬似超サイヤ人6に変身した。気は先程と比べて相当落ちていたが、この場に居る全員を倒せるだけの力は残っていた。ところが、ロボベジットが動き出す直前、悟空がロボベジットの側に瞬間移動し、ロボベジットに向けて何かを放った。それは先程放ったはずの元気玉だった。
ロボベジットは、至近距離から元気玉を受け、大絶叫を上げて空高く吹っ飛んだ。そして、上空で大爆発が起こった。一人喜ぶ悟空の元に、訳が分からないといった表情で、ベジータ達が続々と集まってきた。
「元気玉は、バリヤーで防がれたのではなかったか?まさか二個も作っていたのか?」
「バリヤーで防がれた方は、元気玉じゃねえ。似せて作ったエネルギーの玉だ。ロボベジットに正面から元気玉を放っても、おそらく防ぐか避けられていただろう。だからダミーの元気玉を放ってロボベジットに防がせて、あいつを油断させた。そして、油断したロボベジットの元に瞬間移動すれば、確実に本物の元気玉を当てられると思ったんだ」
知恵が回るロボベジットに元気玉を当てるのは難しいと判断した悟空は、偽の元気玉を作るという策を講じた。ロボベジットが偽の元気玉を喰らえば、威力から判断して偽物だと悟られていたかもしれないが、バリヤーで防がれたので、本物か偽物かの区別が付かなかった。そうして元気玉を凌いだと安心したロボベジットは、よもや本物の元気玉があるとは思わず、悟空の思惑通りに元気玉を喰らった。
「あの元気玉は、見た目こそ小さいが、この銀河中から元気を集めて作られた超元気玉だ。動物や植物からだけではなく、点在する太陽からも元気を集めた。元気玉を当てる直前に超サイヤ人6になられたのは想定外だったが、それでも生きてないだろう」
今回の元気玉の特筆すべき点は、元気を集める範囲と速度だった。一つの銀河の中には何千億もの星があり、それは3C324も例外ではない。悟空は、3C324内にある大半の星から三十分余りで元気を集めた。動物も植物も存在しない荒廃した星からは元気を集められなかったが、それ以外の星からは元気を集められた。以前なら、ここまで広範囲かつ高速で元気を集められなかった。これは元気を集める技術が以前に比べて遥かに向上した事を意味していた。
悟空達が一息入れると、ロボベジットが空から落ちてきて地面に衝突した。ロボベジットの姿は傷だらけで、流石に機能停止していると思われたが、実際は停止していなかった。しかし、最早ロボベジットに闘う力が残っていないのは、誰の目から見ても明らかだった。
「これまでだな。今のおめえなら簡単に殺せる」
悟空は、ロボベジットに手を翳した。そして、ロボベジットの左胸に気功波を放ち、苦しまないように仕留めようとした。
「ぐっ。こ、この俺が貴様等如き相手に、こんな目に遭わされるとは・・・。全く驚かされるぜ。ドクター・ラングにはな」
「え!?何を言ってるんだ?ドクター・ラングは、関係ねえだろ」
「い、いや。ドクター・ラングは、俺の強さを充分に知っていながら、こうなる事まで予想していた。そして、その為の対策も用意していた。死ぬのは貴様等の方だ」
知恵を駆使し、ロボベジットを後一歩の所まで追い詰めた悟空達。しかし、これもドクター・ラングの想定の範囲内だった。


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