其の九十六 ゴジータ復活

リマに続き、悟空まで圧倒した最強の元素戦士ボラリス。そのボラリスに対抗する為、ベジータは超サイヤ人5に変身し、ピッコロは重いターバンとマントを脱いで身軽になり、ウーブは魔人化した。そして、三人とも気を最大限にまで高めた。

「今度は三人掛かりか。構わん。まとめて掛かって来い」
「俺達の力を舐めるなー!」

ボラリスは、三人と相対しても、相変わらず余裕の表情だった。まずピッコロが神魔光烈斬を放ったが、ボラリスには傷一つ付けられなかった。次にウーブがお菓子光線を放つと、ボラリスは、ショートケーキになった。しかし、ショートケーキの姿でも自由に動けたので、ウーブに向かって体当たりした。外見が変わっただけで、実体が金属のままだったので、ウーブは腹部に大怪我を負った。

「うぐっ。か、変わったのは見た目だけで、他は変わってないのか・・・。これでは体が小さくなった分、こちらが不利だ。わざわざ柔らかい菓子を選んだのに・・・」

かつてベジットは、飴玉にされても自由に動けたが、自我を保っていられた凄さもあったが、動いても形が崩れ難いからであった。柔らかい菓子にされていたら、とても動けなかった。一方、ボラリスは、外見が変わっただけで、食べ物にすらなっていなかった。その為、動いても形が崩れなかった。硬度は変わらずに体だけが小さくなったので、ボラリスへの攻撃が当て難くなり、ボラリスからの攻撃は避け難くなった。ウーブは、再度お菓子光線を放ち、元の人型に戻した。

「よくもあんなみっともない姿にしてくれたな。お返ししてやるぞ」

短い時間ではあったが、ボラリスは、ケーキの姿にされて少し怒っていた。そのお返しとばかりに、ウーブに襲い掛かった。ウーブは、魔力による回復すら間に合わず、ボラリスからの攻撃を受けて倒れた。続けてボラリスは、ピッコロに狙いを定め、ピッコロの腹部を殴った。そして、ボラリスの腕がピッコロの腹部を貫通した。

「ぐ・・・。悟空は、こんな奴と闘っていたのか・・・」

ウーブに続き、ピッコロまでダウンしてしまった。後に残ったベジータは、動揺した。

「残るは、お前一人か・・・。余り期待出来そうもないな」
「く、くそったれが!舐めやがって!」

ベジータは、通じないと分かっていても、ボラリスに向けてファイナルビッグバンを放とうと考えた。ところが、この時、トランクスが仙豆入りの袋を持ち、こちらに向かって飛んで来た。ベジータは、トランクスの姿を見て、技を出すのを止めた。ボラリスもトランクスの接近に気付き、後ろを振り向いた。

「あいつは先程逃げた奴だ。戻ってきたのか・・・。丁度良い。探す手間が省けた」

これからトランクスがするのは、悟空達の回復である。それをボラリスに妨害されたら、勝機は完全に無くなってしまう。そこでベジータは、ボラリスの動きを封じる為、ボラリスに向けてエネルギー波を何発も放った。ボラリスは、エネルギー波に当たっても傷を負わなかったが、体が軽いのでエネルギー波の爆発によって生じた爆風に吹っ飛ばされないよう、その場に留まって踏ん張らざるを得なかった。その間にトランクスが餃子に仙豆を食べさせた。

すっかり回復した餃子は、直ちにリマやパンを回復させた。続いてテレポーテーションで悟空の元に移動し、悟空も回復させた。それを見たベジータは、攻撃を中断し、足元に倒れているピッコロとウーブを抱え、悟空と餃子の居る場所まで飛行した。その間、ボラリスは、爆風によって生じた煙に視界を遮られ、何の妨害も出来なかった。

餃子は、ピッコロとウーブ、ベジータまで回復させた。自身の周囲を覆う煙が晴れ、ボラリスが辺りを見回すと、完全復活した悟空達が一箇所に集まっているのが見えた。

トランクスは、多くの仙豆を持ってきていたが、使ったのは餃子に食べさせた一粒だけだった。今後も仙豆が必要になる場面があると見越し、少しでも多くの仙豆を残しておいた方が賢明だと判断し、餃子に頼んで各人を回復させた。

ようやく万全の状態でボラリスと相対した悟空達。ところが、ボラリスは、悟空達の元気な姿を見ても、少しも動じていなかった。

「どうやったのかは知らんが、よくあの状況から復活出来たものだ。まあ良い。あっさり勝っては詰まらんからな。少しでも長く抵抗して俺を楽しませてくれ」

ボラリスは、悟空達が何をしようと自身の勝利は揺るがないと信じて疑わなかった。一方、何とか回復した悟空達だったが、不利な状況である事に変わりなかった。そこで悟空達は、すぐにボラリスに挑もうとはせず、今後の対策について話し合った。

「あいつの体は硬過ぎる。まともに闘っても勝ち目はねえ。でも、ここには大魔王になったリマが居る。なあ、リマ。魔神技を使えるんだろ?それを使えば勝てると思うけど」
「ようやく俺の有難味に気付いたか。俺に感謝しろ。確かに魔神技を使える。奴に勝つとしたら、魔神技しか無いだろうな。お前の体の中に憑依すれば良いのか?」
「ああ。頼む」

魔神技には二つの種類がある。憑依と吸収である。憑依とは誰かの体の中に乗り移る技である。憑依すると乗り移った者の力と乗り移られた者の力が加算され、双方の技が使えるようになる。吸収とは人のエネルギーを吸収する技だが、ボラリスは金属なので吸収するエネルギーが無いから使えない。

リマが憑依を使って悟空の体に乗り移ろうとしたが、ここでベジータが待ったを掛けた。

「待て。もっと良い方法がある。リマ。お前は天津飯が使った若返りの術を使えるか?」
「使えるには使えるが、それがどうした?」
「だったらカカロットにではなく、俺の体の中に入れ。そして、俺を一時的に若返らせろ」
「お前を若返らせて、どうする気だ?そんなので奴に勝てるのか?」
「ああ。俺が若返り、貴様の力を得れば、後は取って置きの方法があるからな」

リマにはベジータの考えが分からなかった。餃子も分からなかった。しかし、それ以外の者達には瞬時に分かった。

「父さん。リマに憑依される事で若返るのと同時に、リマの力を手に入れて、大きく開いてしまった悟空さんとの力の差を埋め、フュージョンするつもりですね」
「そうだ。奴を倒すには、これしか方法があるまい」

ベジータは、老化が進行してからも修行を欠かさずしてきたが、悟空に比べると上達が格段に劣っていた。今では両者の力の差が大きく開いていた。しかし、若返れば活力が戻り、更にリマの力が加わる事により、実力差が一気に埋まる。そうすれば、悟空とのフュージョンが可能となると考えた。

リマは、言われるがままにベジータの体に憑依した。そして、ベジータは、若返りの術を使って若返った。若さとリマの力を手に入れたベジータの気は、悟空に匹敵する位に大きくなっていた。そして、悟空と対になってフュージョンポーズを開始した。久し振りではあったが、双方の息が合い、見事に成功させ、ゴジータになった。

「これだ!この力だ!これならあいつに勝てる!」

もうゴジータの姿を見る事は無理だろうと思っていただけに、周りに居た者達は、興奮を抑え切れなかった。そんな彼等よりも興奮していたのがゴジータ自身だった。ゴジータは、合体出来た事に対してだけでなく、想像を絶する力を得た事にも狂喜していた。そして、超サイヤ人5に変身した。

「あの気は!?・・・どうやら、やっと楽しい闘いが出来そうだ」

ボラリスは、悟空達が話し合っている間、彼等の邪魔をせず、黙って様子を見ていた。そして、強大なゴジータの気に脅威を感じると同時に、これから始まる好敵手との闘いに期待していた。

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